貴方は、Devil’s Night って聞いたことある?
いつだったか、Sさん、Mさんとハロウィン の話をしていて、私が「そういえば、最近、Devil’s Nightも随分下火になったみたいで、よかったですねえ」と言ったら、二人とも、「え? Devil’s Nightって何ですか?」
驚き桃の木。。。SさんもMさんも日本人で、ミシガンにもう15〜20年ほど住んでいる。
在米日本人の中には、何年住んでいても、アメリカ社会についての知識・情報がポーンと抜けている人がいるものだが(自分のことは棚に上げて言う)、この二人も、まさにそうだった! Devil’s Nightという言葉を、15〜20年間、一度も聞いたことがない。。。!
Devil’s Nightというのは、ハロウィンの前夜、つまり10月30日の夜のことで、デトロイトのあちこちで放火が発生するのである。
デトロイト市内には廃墟化した建物・家宅が数万あるので、放火をやり放題できるのである。
今はずいぶんと件数が減ったようだが、1980年代〜1990年代前半がひどかった。メデイアで騒がれていたのを、私も覚えている。
1984年には何と297数件もの放火が起き、NYタイムズに、「世界中で最も放火の多い街(arson capital of the world)」という、ありがたくない名前をもらってしまったそうだ。
暗い街のあちこちでメラメラと橙色の火が燃えさかるのは、いかにも「悪魔の夜(Devil’s Night)」と呼ばれるにぴったりの光景だろう。
けしからんことに、デトロイト市で随一の高層ビルであるルネッサンスセンター(Renaissance Center)ビルまでわざわざ出かけて行き、ビルの高所からその火事の夜景を眺め楽しんだ人々もいたそうである。
正直言えば、暗闇の中あちこちに光る火を見てみたいという(ネクラ〜な?)気持ちが自分の中にもある。人間にある、悪いこと、怖いこと、おどろおどろしいことを覗き見してみたい気持ち。暗闇と火の組み合わせは、なぜか魅惑的。それはたぶん、太古の昔から人は焚き火を囲んで生きてきたからだ、という説を読んだことがあるが、ふんふん、確かにそうかも。
1995年に、Angels’ Nightという、一般市民の夜警ボランティアグループとデトロイト市消防局が一丸になっての放火防止パトロール活動が立ち上げられ、その効果が徐々に現れて、昨年(2013年)は、10月29日〜11月1日の3日間でたったの95件の放火発生、というところまで改善された(95件でも、まだ随分多い感じがするが)。
ということを、ざっと説明してあげたら、SさんもMさんも、なかなか信じてくれない。
「本当ですかあ?」
腹が立った。
こういう手合いの人たちは、この地に長く住んでいる先輩の永住日本人どころか、アメリカ人の言うことだって、なかなか信じないところがある —と断言すると独断偏見に満ちてしまうが、私の(限られた)経験から言ってます。(もちろんそうじゃない人もたくさんいる)
下記に、しかるべきメデイアによるdevil’s nightの記事へのリンクを貼っておくので、さあこれでもう、信じないわけには行かないだろう!(でもこのブログを見てくれそうにない)
Wikipediaにも載っています。
今年は一体何件の放火が起きることだろう。今年(今月だ!)のAngels’ Nightのボランティアを、今、募集中だそうです。貴方、応募してみますか?デトロイトの防犯パトロール活動は、ちょっとこわすぎ? ボランティアの(アメリカ人の)方々、本当に大変ご苦労様です。
************************************************
さて、余談 –
デトロイト市内に点在する廃墟ビルは、何やら怖くて、近づきたくないものだが(屋内で麻薬をやっているとの話を聞いたこともある)、そういう廃墟を好きな人たちがいる。ヨーロッパ人に廃墟が好きな人が多く、廃墟についてのブログや写真集がたくさんあるらしい。なぜ、特にヨーロッパ人に受けるのだろう? 日本に住んでいる外国人にも廃墟好きな人がいて、日本の閉山した炭坑跡地などを巡る趣味の人がいるようだ。「haikyo」という言葉が在日外国人たちの間で使われているようである。
欧州人がデトロイトを好きなことについての記事のリンクです。ご参考にどうぞ。
Why Foreigners are Still Attracted to Detroit (by PRI’s the World, June 8, 2012)
放火事件が起こりやすい日があるっていうのもすごい話だね。
デトロイトは、いろんな意味ですごい所です。
私は、1985年から1992年までデトロイトにいました。ハロウインが近づくにつれて「ラジオ」から「ハロウインキャンディーには毒や爆発物が入っているので口にしないこと」「放火に対するウオーニング」などが放送されるようになったので、アメリカ人に聞いたところ貴兄が仰るような話を聞かされました。1985年のハローウインの夜取引先社長のハロウインパーティーに呼ばれましたが、お子さんの「treat or trick」は危険なので親御さんが車で尾行していました。
こんな話、誰も信用してくれないので、帰国する時、Ze’ev Chafets 著 ”Devil’s Nights”を買って持ち帰りました。
コメント、大変ありがとうございます。そうですか、デトロイトが最もおどろおどろしていた時代に住んでいらっしゃったのですね。Devil’s Nightsについて誰かが本を書いていたのですねえ。その本をもってれば、さすがに信じてくれましたか? 私も買おうかな。