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サンダンス映画祭に行ってきた。
といっても、ユタ州ミシガンのアナーバーにあるミシガンシエター(Michigan Theater)に。
1月26日の夜、7時半から、出品作品のひとつ「For a good Time, Call…」が上映された。
直前になって「行こう!」と思い立ち、チケットマスターからオンラインでチケットを買ったのだが、「Will Call」という名前の購入のカテゴリーに入ってしまった。この「Will Call」とは、当日劇場の窓口でチケットをピックアップしなければならない。それも開演の1時間ほど前からしかできない。
前日に窓口に電話で聞いたら、長い行列ができると思うから早めに来た方がいいですよ、と言われる(昨年、相当長い列が出来たそう)。寒い中を凍えながら30分も待つことになっては大変と、6時半、つまり開演1時間前に早く行った。すると、行列は殆どなくて拍子抜け。すぐにチケットをもらえた。1時間まるまるあり、手持ちぶさたなので、近くのスターバックスに入る。
7時に戻る。
入口に人だかりが。
場内に入ると、かなりの混みよう。
これは売店。売り子のお兄さん達が蝶ネクタイなのが、粋でよろしい。
私の席は2階のバルコニー席。$23.75 もした。かなり高い!
これに駐車料金(近くの立体駐車場に停める)$3.75 を足して、計$27.50 !
たかが映画1本見るにしては、ちょっと高すぎじゃあないの。。。普通はこのシエター、こんなに高くないのだが(10ドル前後)。サンダンスだから特別かな?
映画館というより、オペラハウスやミュージカル劇場の雰囲気。
真鍮でできた、豪奢な水飲み器(drinking fountain)。1階にある。
開演までの間、このシエターの目玉であるパイプオルガンがステージで演奏されていた(中央少し左のスポットライトを浴びている所)。何度聞いても、すばらしい音色。
このパイプオルガンは、こういう風に、時々お客のために演奏される。夏のアートフェアの時にも、こんな感じで演奏してくれるようだ。
サンダンス映画祭の創始者、ロバートレッドフォードの出世作となった映画「明日に向かって撃て」(英題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)の有名な主題歌「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin’ on My Head)」も演奏していた。
この音楽は、日本人でも、私のような世代には、とても懐かしいもの。
「明日に向かって撃て」は1969年の映画だから、私がこの映画を初めて見たのは、もっと何年も後、古い映画を安く上映してくれる映画館でだった。その主題歌は、実際は自分より10才ほども年上の世代の音楽であるのだろうけども、それでも、まるで自分の青春時代の代表的な曲であるような気がしたものだ。あなたにも、そういう曲がきっといくつか、あるでしょう?
「明日に向かって撃て」の方が、ずっとカッコいいタイトルだと思うのだが、アメリカ人は、どうして「Butch Cassidy and the Sundance Kid」なんて題の映画を「見に行きたい」と思うのだろう?? こんな題では、日本では絶対に売れない。日米の文化の違いのひとつであり、また、言語の違いから来るものか?
逆に、「明日に向かって撃て」なんて題では、アメリカでは売れないかもしれない(直訳すれば、Shoot (your guns) Towards Future — なんか、物騒?)
米国の映画には、「こんなタイトルで〜?!」と思うような題のものがよくある。そういうのは、日本で配給される時に、だいたい、日本人にウケるような題に変えられているようだ。
雪の結晶のシルエットがきれい。スキーリゾートの映画館にいるような気分。
天井に見とれて開演を待つ。
さて、場内は満杯となり、いよいよ、ミシガンシエターの支配人と、出品作品の映画監督が登場。
映画監督(手前)がカナダのトロント出身なので、この地域のご近所さんということで、観客は大いに盛り上がる。
映画終了後、監督、主演女優2人と観客との質疑応答。
女優さん達の軽妙な受け答えに、観客はまた大いに盛り上がる。
サンダンス映画祭は、全く無名の人たちが映画界にデビューできるチャンスである。この女優2人も、そのうち、メジャーなハリウッド映画に目見えするのだろうか?
よく出来た映画であった(何を言ってるのか分からない場面が多々あったのだが、分からなくてもストーリーは大体つかめる類いの映画だったので、「よく出来た」だなんて言える)。
ユタの会場で、すでに配給会社から買い付けのオファーがあったそうだ。
買い付け交渉はユタのメイン会場で行われる。毎年、配給の買い付け担当者や弁護士など、ビジネス関係の連中が大勢、メイン会場のロビーに詰めかけるのだそうだ。
サンダンス映画祭には毎年、1万本もの映画作品の応募があり、そのうち配給会社の買い手がつくのは、ほんの数十本だそうだ。超難関!
1階からの撮影。
場内はほぼ満席。1700席あるから、つまり、1700人近くが来場したわけだ。
映画のストーリーは、面白いのは面白いのだが、私のような中年には、ちょっと「うーん。。。」
20代半ば〜30代初めをターゲットにした作品。だいたい、映画祭なるものを見に行くのは若い人たちだろうから、当然か(自分も20代には随分映画祭に通った)。
シエターの支配人は、数日前までユタのメイン会場にいたそうだ。今夜のために、飛行機でユタから帰ってきたとのこと。楽しそうな仕事でうらやましいなあ!
サンダンス映画祭のメイン会場は、Park cityというスキーリゾートタウン。ユタのスキー観光振興を兼ねて、ロバートレッドフォードの提案により、Park cityが恒久的会場に選ばれたとのこと。
こういうのもくれた(無料で!)
きれいな分厚い雑誌。
随分気前いいなあ! よく見ると、Sundance Institute 発行。Sundance Institute は、レッドフォード主宰の非営利団体。映画制作のキャリアを志す人たちにアピールする情報が満載だ。
最初のページに、レッドフォードの写真がドーンと。相変わらずカッコいいのう。
と、気がつく。これ、一体何年前の写真?
彼は1970年代、ハンサムの代名詞だったが、彼のおかげでサンダンス映画祭がここまで有名になったといっても過言ではなさそうだ。
こちらの写真(右の方のページ)が、最近のもの。
今や70代のおじいちゃんだが、まだまだバリバリ活躍している。
ところで、このミシガンシエターの支配人(ロスコリンズ (Russ Collins) 氏)は、アナーバーの地方セレブみたいな人である。ラジオ(WEMU)で毎週「シネマチャット」という番組があって、彼はもう長いこと、その番組のレギュラー。町のタウン情報紙にも、いつも映画評を書いている。
ミシガンシエターについては別途書いているので、こちら、アナーバーの偉大なる映画館、ミシガンシエターを読んでみてくださいね!
ミシガンシエターは、ここ2年連続してサンダンス映画祭の上映会場に選ばれるという快挙を成し遂げたものの、今後また選ばれる保証はない。だから、今年、重い腰を上げて行ったのだが、行ってよかった!
冬のウツを晴らしてくれるような、楽しいお祭りである。
観客、ことに若い人たちは、アナーバーのシエターが会場のひとつに選ばれたことに、大いに誇りを感じ、興奮しているようだった。
このように、「自分も映画祭に参加しているんだ」と感じさせるような、言ってみれば、ローカリゼーションは、きっと良い結果を生むことだろう。
サンダンス映画祭のファンは、今後も増え続けるに違いない! (ひょっとして東京や上海にも来るかも。現に今年4月にはロンドンでも開催されるし) と思わせるような上映会であった。