毎年10月のある土曜日に、サウスヘイブンのある農場で、クランベリー収穫ショーが行われる。
一昨年その見学に行った時のことをミシガンのクランベリー!収穫ショー(Cranberry Harvest Show @South Haven)で書いたのだが、このたび、デトロイトの日系新聞「JAPANニュース倶楽部」の11月号に記事を書かせていただきました。
記事は、一昨年に書いたそのブログを元にしたもの。記事の写真を「新聞寄稿記事(Published Articles)」に載せてるけど、小さすぎて読めそうにないね。
さて、クランベリーについての豆知識をもう少し。
- 北米原産
あらゆる果物のうち、北米原産とはっきり分かっているのは、ブルーベリー、クランベリー、そして、コンコードという名の種類のブドウ(Concord grapes)の3つだけ。
(クランベリーとブルーベリーは、同じ科 (family) の植物)
- 名前の由来
元々、清教徒はクレインベリー(craneberry)と呼んでいた。 春に咲く小粒のピンクの花が、ツル(crane)の頭とくちばしに似ているからだそうだ。
- とってもヘルシー(Health Benefits)
スーパーフルーツ (super fruit) の異名を持っている。
* 抗酸化物質(antioxidant)に富むので、ガン予防に効果あり。
*ビタミンCも豊富。
最新の研究報告では、次の効果もありそうとか。
*老化防止
*虫歯予防
*歯周病の予防
*アテローム性動脈硬化(atherosclerosis) の予防 — (アテローム性動脈硬化って、どんなの?)
*胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防
*更年期女性の尿路感染症(UTI: Urinary tract infection)予防
(女性は年を重ねると尿路感染症にかかりやすくなる。恥ずかしながら私も何度かかかったことがあり、お医者さんに、クランベリージュースを飲め飲め、と勧められた。効き目はあったような気がする。)
ということで、皆さん、クランベリーをたくさん食べよう! クランベリージュースも飲もう!
- クランベリーの生産地
米国:Massachusetts, New Jersey, Wisconsin, Washington, Oregon, Maine, Michigan
カナダ:British Columbia, Quebec
生産高は、ウイスコンシンが第1位で全米生産量の半分以上を占める(というか、全世界の生産量の半分以上)。マサチューセッツが第2位(私はマサチューセッツが第1位とばかり思っていた)。ミシガンは少ない。
- 今や、北米のクランベリー生産量は年間4億ポンド(400 million pounds)。ええと、1 kg = 2.2 lb だから、約18万トン、ですかね。ピンと来ないけど、なんだか、すごく多そう、という感じはする。
- 米国産クランベリーの23%は、欧州、日本、韓国、メキシコ、オーストラリアに輸出されている。(私が日本にいた頃(昔むかし)は、クランベリーなんて、見たことも聞いた事もなかったなあ)
- 栽培に適した土壌、気候
酸性の砂の土壌(acidic sandy soil)。冬が長い冷涼な気候。豊富な水。(だからミシガン湖地方が適しているわけだ)。
- クランベリーの歴史
北米インデイアンが、昔から、野生のクランベリーをじゅうたんや毛布の染め物に、食用に、また、矢の傷の治癒などに用いていた。
17世紀、清教徒がインデイアンからクランベリーの使い方を習い、クランベリージュース等を作るようになる。
独立戦争の元戦士が1816年、マサチューセッツ州ケープコッド(Cape Cod)で商業用栽培を始める。砂が風に吹かれて彼の湿田(bogs)に飛んでくると、クランベリーがよく育つことに気づき、湿田をフェンスで囲んで砂を撒く栽培法を始める。この方法は広く普及し、19世紀を通じてクランベリー栽培農家の数は増え続けた。
1820年代、ヨーロッパへクランベリーが輸出される。
1830年代、水を張って霜害からクランベリーを守る方法が行われ始める。
1850年代、捕鯨などの船乗り達が、壊血病の予防にクランベリーを船に積んで航海に出るようになる。
1930年、Ocean Spray社創立。
1960年代、wet harvestingの収穫メソッドが確立。
1980年代、米国外へも流通が広がり、クランベリージュースの需要が激増。
1997年、クランベリーの供給過多により、クランベリーの価格暴落。
2000年代、需要供給のバランスが取れ、価格が安定する。
- クランベリーを使ったレシピ(Recipes)
*北米インデイアンの昔々からの「pemmican」という名の人気レシピ:
干した鹿肉、溶かした脂肪、つぶしたクランベリーを混ぜたもの。(うーん、あんまり食欲をそそらないのだけど。。。ジャーキー(pemmican jerkey)が売られているようだ。どんな味?
*uscranberries.comというサイトに、たくさんレシピが載っている。
クランベリーとオレンジは相性がとてもいい。
私は、クランベリーオレンジマフィンやクランベリーブレッドが大好きだけど、太るのであまり食べられないのがツライ。
*クランベリーソース(cranberry sauce) は、バッグ入りのクランベリーを買うとバッグにソースの作り方が書いてあるが、その通りにすると(クランベリー12ozに砂糖1カップと水1カップ )、砂糖の味がきつくて、いや甘いのなんのって! 文字通り、頭痛がしてくる。
と、ここまで書いて気がついた。砂糖をどっさり入れるのでは、せっかくのヘルシーフードもヘルシーではなくなってしまうではないか! 虫歯予防の効果もなくなってしまう。 どこかのサイトに、干しクランベリー(dried cranberries) をサラダに混ぜるとか、クランベリーの成分を混ぜたマウスウオッシュ(mouth wash) で口をゆすぐことが勧めてあった。それなら良さそう(でも、クランベリーのマウスウオッシュ、どこに売ってるのかな?)
クランベリージュースも、カロリーがあるので、あんまりガブガブと飲めるものでもない。
砂糖控え目のクランベリーソースのレシピがないかと探してみると、アップルジュースを混ぜて砂糖の量を減らすレシピや、オレンジやリンゴを混ぜるレシピ等がある。相性の良い果物を混ぜて砂糖を減らすとか、単に砂糖を適当に減らしてみるのがいいだろう。
- ミシガン州のクランベリー生産が少ないのはなぜ?
クランベリーの栽培に適しているにもかかわらず、ミシガンはクランベリーの栽培が盛んではない。栽培農家は5件ほどしかないとか。ブルーベリーの栽培の方がずっと盛ん。
その理由は、ミシガン州の法規制が厳しいのもあるが(沼湿地の保存や水質基準にやかましい州法、連邦法の両方がある)、もっと大きな理由は、20年ほど前、州の奨励下、クランベリーの栽培をミシガンでも始めようという動きがあったのだが、ちょうどタイミング悪くその時クランベリーの価格が暴落し、ブルーベリーの価格が急騰したので、農家達はこぞってブルーベリーの栽培の方に力を入れることにした、ということだ。
ウイスコンシンやマサチューセッツは、もっとずっと以前からクランベリー栽培に力を入れていた。ウイスコンシンはブルーベリーが育つにはちょっと寒すぎるとか。ミシガンはもっと暖かいのでブルーベリーが育つ(ウイスコンシンより暖かいったって、やっぱり寒いけど) クランベリーのウイスコンシンに対して、ブルーベリーのミシガンというわけだ。
今年(2012年)は、4月の寒波と夏の猛暑で、クランベリーの苗の管理が大変だったそうだが、無事乗り切れ、この秋はミシガンのクランベリーは豊作だったとのこと。リンゴやチェリー、その他の果物が3月の異常高気温のため大凶作だったので(果物の宝庫、ミシガンの秋に書いてます)、やれ、よかったよかった!
YouTubeにウイスコンシンのクランベリー収穫の様子がたくさん出ている。私が見に行ったミシガンのファームよりずっとずっと大規模であることが伺える。そのひとつをこちらにどうぞ。
日本ではブルーベリーは身近にありますが、なぜかクランベリーはジャムやジュースでさえもあまり見かけません。食べたい。
日本にはクランベリー協会のようなものがあるようなんですけどね。これから、ぼちぼち出てくるのでしょうか?
Tukusigalさん、
とってもインフォーマティヴな投稿ありがとうございます。
東京近辺ではなぜかクランベリーが育ちません。この投稿でその理由のいくつかがわかった気がします。何回、苗を枯らしてしまったことか・・・
ブルーベリーが庭に5本(全別種)あります。今後も「ミシガンブルーベリー情報お願いします!
コメントありがとうございます。東京の園芸店でクランベリーの苗、売ってるんですね。クランベリーの栽培は、たぶん難しいのではないかな? 私の住んでいるところでも苗は売ってますが、私はまだ買ったことありません。砂を混ぜたりして大変ではないかと思い。。。ブルーベリーの季節がまた(数ヶ月したら)やってきます。またこういうの、書きますね (^^)
ブルーベリーも育てていらっしゃるんですね。5本はすごいですね。園芸がお好きなのですね。東京では、ブルーベリーは育つけどクランベリーは難しい、ということか〜。